定価1,260円(税込) 2004年1月発行
なんとも刺激的な題名です!
何が刺激的かといって、あまりにも正論に過ぎるからです。要するに「イヤな客」とはクレーマーのことです。世の中にはクレームを趣味か職業にでもしているような立派な方々が、老若男女・性別・年齢に関係なく、想像以上に多いようです。商店やデパートはもとより、コンビニから食堂、あげくは役所や病院の看護師や医師に対してまで、ま〜あぁゴネるのがお上手なこと!実にイヤーナ時代のようです。
著者は「日本経営教育研究所代表」であり、経営コンサルタントだそうです。PHP研究所という一流の出版社の発行ですので、耳をかたむけたくなります。副題には小さな赤字で石原式「顧客化戦略」の全ノウハウとあるんですが、帯には大きな字で「顧客を選別する主導権はあなたが握っている」とあるのが、何ともイヤミです。と、扉を開くと今度は、営業マンには「売らない」という権利がある、とあります。いよいよ怪訝です。
じらさないで一気に本書の要点をピックアップします。かなり終わりのほうに「イヤなお客に売るとトンデモナイことになる」という表題の項目があり、これです!クレーマーに売ってしまうとあとが大変、クレームの処理に膨大な人員と時間を浪費して、まともな顧客への対応がおろそかになって踏んだり蹴ったり。
「買ってください、買ってください」と頭をペコペコ下げたために、お客様は神様気取りになってこうした暴挙におよぶのです。
ある会社の苦情処理係が、わずか二年もの間に四〇人も辞めて、そのうちの半数は心身症になって心療内科に通っているそうです。その会社の役員は、クレーム処理は会社の宿命だから、クレーム担当者が受けるストレスは仕方がない、といったニュアンスの発言をしたそうですが、それは「顧客化」の大いなる間違いです。
そういうことが起きてしまうのは、販売の段階で、お客様の選別に失敗したからです。会社のほうで、「あなたが要求するようなサービスは提供できませんので、申し訳ないですが、他の会社に行っていただけませんか」と断ることができなかったために、このように大きな損失を被るのです。
ですから「イヤなお客には売らない」を徹底させましょう。
とあります。
また、帯の裏には【顧客化の成功法則】として、
1.好きなお客だけを集めなさい
2.好きなお客だけを選別しなさい
3.好きなお客だけに販売しなさい
4.好きなお客だけをフォローしなさい
5.好きなお客だけを黄金の顧客に育てなさい
とあります。
世の中はどうやら選別の時代に入りつつあるようです。あまりにもこれまで権利意識がノサバリ続けた反動なのかもしれませんが・・・。