No.1  下げたら、あかん!コレステロールと血圧 (浜 六郎著)


日本評論社発行、定価は1,600円。2004年5月発行。
 
表題の、とりわけ「下げたらあかん!コレステロール」については、奇をてらっているわけでもなければ、ましてやこけおどしなどでは断じてありません!

 なぜか?

 悪玉コレステロールは「善玉」であり、善玉コレステロールは「悪玉」である。

 なぜか?

 コレステロールが低いのは、癌の原因か、結果か?

 コレステロールを下げて健康な人を癌にしたいのか?

 医者はなぜコレステロール低下剤を使いたがるのか?
 
 これらの問題を詳細に解説した本書は、一般の人よりも、医師・薬剤師こそ読むべきで、これまでも近藤誠著『成人病の真実』(文芸春秋2002年8月刊)や柴田博著『中高年健康常識を疑う』(講談社2003年12月刊)などでも十分に論議されてきたことですが、本書が最も詳細に書かれており、コレステロール低下剤の副作用の問題でも、かなり詳細です。
 
 免疫抑制作用、神経障害などは日常茶飯事に見られるもので、私自身の仕事の上でも、膀胱炎を繰り返す女性に猪苓湯に白花蛇舌草を併用してもらったところ、しばらく続けて治ったと思って漢方薬を休むと直ぐに再発します。
 そんなことが何ヶ月も続くうち、たまたま病院から出されたコレステロールの薬を長期に続けていることを知り、すぐにそのスタチン製剤を中止してもらったことろ、そのまま漢方薬がなくても再発しなくなっています。

 神経障害的なものでは、突然腕の力が抜けてハンドバックを落としてしまう中年女性に、病院から出されて継続中のコレステロールの薬を中止してもらったところ、二度とおこさなくなっています。

 また、中年男性が風邪を引いてばかりいるので、詳しく体調を聞いているとコレステロールが高いといわれて、病院から出される薬をまじめに服用しており、その頃からどうも体調を崩すようになった気がするとのことなので、しばらく中止してもらったところ、体調も旧に復してかぜも引かなくなっている。

 上記のいずれも、コレステロール値はもともと240から250くらいもので、服用後は二番目のバックを落としてばかりいた女性のごときは、180にまで下がりすぎていたのです。

 ともあれ、どこかのテレビの番組ではないけれでも、「ほんとうは恐い、低コレステロール!」というべきで、同時に「ほんとうは恐いスタチン製剤!」というわけです。

 その詳細を知るには、本書を購入して読むべきで、やっぱり一般の人々以上に、医師・薬剤師にこそ読んでほしい書籍です!

 ところで、漢方と漢方薬ではコレステロールが280以上あるような異常値の場合にどうするか?
 故張瓏英先生の御高著『臨床中医学概論』や『臨床中医学各論』などによれば、茵蔯蒿湯であると断言され、本方剤を高く評価されている。
 この茵蔯蒿湯は高脂血症をはじめ、尿酸や尿素窒素やクレアチニンまで有効性のある方剤として、張瓏英先生が強く推奨されておられた方剤である。
 茵蔯蒿・山梔子・大黄という僅か三味の漢方処方であるが、各科の広い領域で応用される特に有用な方剤として記憶されておくといい。